月刊IKKIでの連載開始当初から、各界に激しく波紋を投げ掛けた松尾スズキ氏原作・山本直樹氏作画による衝撃作『破戒〜ユリ・ゲラーさん、あなたの顔はいいかげん忘れてしまいました〜』がついに単行本となりました。松尾・山本両氏の持ち味であるエロスとバイオレンスに彩られたこの作品、物語の根底に流れているのは(単行本の帯にガツンと書かれているように)まぎれもなく「純愛」です。

 昨今、世間を賑わせているイマアイとかセカチューとかピカチュー(嘘)といった作品によって、実に軽いニュアンスで語られるようになった感のある「純愛」。
…でも、その「純愛」とは、いかにみっともなくて、情けなくて、残酷なものであるのかを、『破戒』は、他に類のない独特かつ強烈な表現で読者に教えてくれます。なんというか…お互いにリスペクトしている松尾・山本---私はこのタッグを、あえて「共闘」と表現してますが---両氏だからこそ表現できた、奇跡的な作品だと言えるのではないでしょうか。…違う、そんなぬるい言い方なんかじゃなく、ただ、「奇跡だ!」と断言します。

 私事で恐縮ですが、私が松尾氏に初めてコラムを依頼した日からもうすぐ7年です(もっと言えば、山本氏の作品で初めてオナニーしてから約18年)。
 そして私にとって『破戒』は、7年間松尾氏と成してきた仕事の、ひとつの到達点です。
 世間様に堂々と胸を張れる、すげえ作品を担当することができたよ。
つよくしんじていればゆめはかならずかなうんだね、ママン!

単行本にあたり大幅な加筆(24ページ!)をほどこし、さらに、物語の裏側や両氏の創造の原点をも語り尽くした特別対談を収録しています。

どうか皆様、ご一読いただきますよう、宜しくお願い申し上げます。
2005.03
(小学館IKKI編集部/豊田夢太郎)