音楽雑誌BUZZに97年初頭から98年初夏まで連載され、大好評を博した人気コラムを単行本化したものであり、その「笑い度」と「悲哀度」の高さ濃さ面白さそして文章そのもののすばらしさにおいて、数ある松尾スズキ著作の中で『大人失格』『これぞ日本の日本人』と並び、最高傑作と称えられる空前絶後の一冊。当時、世間の槍玉に挙がった人々挙がらなかった人々全14人に松尾スズキがあらぬ方向から刮目し、考え、笑い、そしてひたすら掘り下げ強引に感動するさまには、各界著名人より数多くの称賛の声が寄せられた。なお、この本が出てすぐ松尾氏は岸田戯曲賞を受賞、二刷目の帯には「祝・受賞!」の文字が躍った。本書で松尾氏に学ばれた日本人は、益子直美、飯島愛、可愛かずみ、酒鬼薔薇聖斗、テリー伊藤、坂井泉水、哀川翔、ドロンズ、知念里奈、松本人志、林葉直子、裕木奈江、草壁竜次(ドクター・キリコ)、石井苗子。このうち益子直美と林葉直子には、のちに実際に会うこととなる。というか、益子直美は写真集発売記念のサイン会に並び、林葉直子には『エロスの果て』のポスターのモデルを依頼、といずれも松尾氏が積極的に働きかけての出会いであったことはよく知られている。なお、この連載が始まった時、私は弊社の他の雑誌の編集部にいたのですが、第一回を読んで「活字でこんなに面白いことを書く人がこの世にいるなんて」とものすごくショックを受けたのを昨日のことのように憶えています。本書を作らせていただけて、幸せでした。自分が編集を担当したからだけではなく、戯曲を除く松尾作品の中で、これがベスト1だと私は真剣に思っています。なお、宮崎吐夢氏による注釈もものすごく面白いので必読です。
(ロッキング・オン編集者/兵庫)